
矢祭町 刀剣展示会
第6回「刀剣展示会」
スペシャルトークセッション レポート
刀工 藤原宗永 × 日本刀専門家 ポール・マーティン氏

先達の宝を次世代へ
矢祭町から発信する刀剣文化
2026年5月30日(土)、ユーパル矢祭にて「矢祭町 刀剣展示会」が開催され、その目玉企画としてスペシャルトークセッションが行われました。
スペシャルトークゲスト
三者三様の「刀との出会い」
矢祭町長
元々歴史好きで、司馬遼太郎の歴史小説などを通じて、刀剣が持つ時代背景や歴史の深さに惹かれていった。
日本刀専門家
大英博物館で警備員として働いていた際、日本ギャラリーで見た刀の素晴らしさに衝撃を受け、研究の道へ。
刀工(宗永鍛刀場)
高校卒業後、刃物鍛冶のテレビ番組を見たことをきっかけに、運命に導かれるように刀工の世界へ飛び込む。
第6回「刀剣展示会」スペシャルトークセッション レポート
Special Talk Session Report
矢祭町の歴史と文化を未来へつなぐ
矢祭町長・佐川正一郎氏は、今回で6回目を迎えた「刀剣展示会」の開催にあたり、地域の歴史や文化を見直し、未来の時代、次の世代へとつないでいく重要性を強く語りました。茨城県、福島県、栃木県の県境に位置し、古くから歴史の交差点でもあった矢祭町。この地で日本の伝統技術を体現する「刀剣」のトークセッションが行われたことは、地域文化の活性化において非常に大きな意味を持っています。
「自らの精神を落ち着かせるために」刀工が語る本質
対談の中で、ポール・マーティン氏は「日本刀は単なる武器や美術品ではなく、神話とも深く結びついており、日本人の精神を宿した特別な存在である」と語り、この深い精神性を海外へも正しく発信していく必要性を訴えました。
このポール氏の意見に、刀工・藤原氏も深く共感し、日本刀の本質について次のように語りました。
刀は人を傷つけるためではありません。むしろ、自らの精神を落ち着かせるためのものです。刀を振り回して争うのではなく、話し合いによって解決する。これこそが、日本人の根底にある考え方ではないかと思うのです。
刀という存在が、日本人の精神的成熟や、争いを避ける理性の象徴であるという真摯な言葉には、計り知れない重みがありました。
藤原が話を終えた瞬間、会場からは自然と温かい拍手が沸き起こりました。刀に込められた切なる願いが、そこにいたすべての人の心へ自ずと伝わった瞬間でした。
命を懸けて鍛え上げる「最高の一振り」のドラマ
落語の世界で使われている「真打(しんうち)」という言葉。実はこのルーツは、日本刀作りの伝統技法にあります。藤原宗永が明かした「真打」と「影打」のエピソードは、職人の執念を物語るものでした。
刀工は刀を鍛える際、最初から一本だけを作るのではなく、同時に三本の刀を全力で作り込みます。そして、その中から最も出来が良い最高の一振りを「真打」として選び出し、それ以外の二振りを「影打」と言うそうです。
寄席の最後を締めくくる、最も優れた者を「真打」と呼ぶようになったのも、この厳しい作刀の世界が語源です。すべてに命を懸けながらも、さらにその上の「最上の一振り」を目指す刀工の心意気に、会場の誰もが深く感銘を受けていたのではないでしょうか。
1000年先の未来へ託す、歴史と“ロマン”のバトン
佐川町長が語るように、日本の歴史や文化を五感で触れる機会を地域に作ることは、子どもたちの将来の視野を広げることにもつながります。
ポール氏が語る「世界への正しい発信」、藤原氏が体現する「伝統技術の継承」、そして矢祭町が目指す「文化による地域振興」。
この3つの想いが交差した今回のトークセッションは、日本刀の美を通じて、矢祭町から世界へ向けて大切なメッセージを発信する素晴らしい足がかりとなったと確信しています。
日本刀を持つということ
Message from Fujiwara Munenaga