作風について

Sword style

古刀に魅せられて

Fascinated by old swords

平安末期~鎌倉時代の古刀の魅力

藤原宗永が目指すのは、平安末期から鎌倉時代に作られた古刀の再現です。
弟子時代ある古刀に触れたとき、現代刀にはない地刃の明るさ、奥行き、そして「矛盾」に圧倒されたと藤原は言います。

重ね(厚み)、身巾がありながらも、現代刀にはない手のなじみやすさ、温かみと力強さが共存し、光を当てると、ふんわりと周囲を包み込むような柔らかな地刃。

この幽玄の美を自らの手で再現したい――。

その思いが、藤原の刀作りの原動力となっています。

目指す作風

Aimed style

古刀~山城・備前・相州を目指して

藤原のこれまで手掛けてきた作品の評価の一部を紹介します。
古刀再現を追求する姿勢を感じていただければと思います。

鎬造り(しのぎづくり)、庵棟(いおりむね)、小鋒詰まる(こきさきつまる)
地鉄、板目流れごころに肌立ち、所々に強い杢目肌(もくめはだ)交じる。
地に淡く映り立つ。
刃文、直調(すぐちょう)を主体として、小互(こぐ)の目、小丁子(こちょうじ)、匂い口締まって連なる。

作刀の部 銅賞第二席・新人賞受賞時講評より

鎬造、庵棟、小鋒詰まる。
地鉄、板目流れごころに肌立ち大肌交じる。
刃文、直刃小さく乱れ小足、葉入る。
鋩子(ぼうし)、直ぐに小丸に返る。

作刀の部 入選時講評より

伝統と技術を未来へ

Tradition and Technology for the Future

日本の伝統文化を次世代へつなげたい

古刀の作刀技法は、残念ながら現代に伝わっていない“ロストテクノロジー”です。
そのためにも、刀工の一人として、日本刀づくりの伝統と技術を次世代につなぐ役割を担うことを自らの使命として、藤原は今日も古刀再現に尽力しています。